三澤法律事務所 横浜関内の弁護士法律相談(神奈川県弁護士会)

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傷害保険等の弁護士法律相談(入浴中溺死等)


1.傷害保険

 ここでは、傷害保険で特に問題となることが多い、高齢者の風呂場での溺死事例を取り上げます。風呂場での溺死事例において、死因は心疾患等の内因性の疾病であり、傷害保険金給付の要件である外来の事故とはいえず、疾病免責条項に該当することを理由に保険金の支払いが拒絶される場合があります。
    
 高齢者の風呂での溺死の原因については、法医学上、心疾患等の疾病による内因死であることが多いとされてきていましたが、近時研究が進み、外因性の意識障害によって溺死するという機序が有力に唱えられるに至っています。これは、入浴中の溺死事故において、保険の対象となる場合があることを意味しています。
                              
 傷害保険疾病免責条項に該当するのかを判断するためには、死亡された被保険者について、その死因を、各種医学的研究の成果と、ご本人の既往症に関するカルテ等の医学的資料に基づき、調査する必要があります。
 ここでは、風呂場での溺死事例を取り上げましたが、その他、餅をのどに詰まらせたことによる死亡、介護中のてんかんの発作等による死亡をはじめとする、多様な事故が、傷害保険金請求において問題となります。

2.生命保険

 被保険者が、自殺免責期間内(1~3年である場合が多いです。)に死亡した場合、被保険者の死亡は自殺によるとして、生命保険金及び傷害特約保険金の支払いが拒絶される場合があります。
             
 死亡された被保険者に自殺の動機があったか、事故現場の状況から自殺であることが否定されないか、保険契約締結の経緯はどうだったか、被保険者の事故前の言動に不自然な点はあったか、被保険者の健康状態や将来の予定はどのようであったか等、様々な角度から、被保険者が自殺されたことが必ずしも明らかではないことを示すことで、生命保険金及び傷害特約保険金の支払いを求めていくことになります。
 なお、自殺免責期間経過後の自殺の場合には、特約傷害保険の外来性は認められないと考えられますが、生命保険金は支払われることになります(最高裁平成16年3月25日判決)。

3.火災保険

 建物が火災で焼失した場合において、これが被保険者による放火であるとして、火災保険金の支払いが拒絶される場合があります。
 この点については、そもそも放火であるといえるかという点と、放火であるとしてそれが被保険者によるものであるといえるかが、問題となります。
 消防署等の火災原因判定書を取寄せる等により、火災発生地点はどこであるかを明らかにし、火災発生地点に火災発生の原因となり得る火元があったか、火災発生当時現場には誰がいたか、火災発生場所には部外者が侵入できたか、火災保険契約の経緯はどうであったか、被保険者の経済的状況はどうか等を明らかにすることにより、火災の原因が被保険者による放火であるとはいえないことを示し、火災保険金の支払いを求めていくことになります。

4.車両保険

 自動車の盗難、水没、破損が生じた場合に、車両保険金の請求をすることになりますが、保険会社は、被保険者の意思に基づく事故であり、偶然性が無いことを理由に、支払いを拒絶することがあります。
 被保険者は、「被保険者の占有に係る被保険自動車が保険金請求者の主張する所在場所に置かれていたこと」及び「被保険者以外の者がその場所から被保険自動車を持ち去ったこと」という『外形的事実』を示す必要がありますが、当該事故が被保険者の意思に基づかないことまで示す必要はありません(最高裁平成19年4月23日判決)。
 具体的には、被保険者が説明する事故態様が通常あり得るかどうか、自動車にイモビライザーが搭載されていたかどうか(他人が自動車を持ち去りやすい状況であったかどうか)、保険契約締結の経緯、保険金額、被保険者の経済的状況や過去の保険金請求歴の有無等を示すことにより、車両保険金の支払いを求めることになります。