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相続遺言・遺産分割・不動産・商事法務・人身事故・刑事手続を取り扱う弁護士事務所です(神奈川県弁護士会)。

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相続・遺言・遺産分割の弁護士法律相談

 

このような相続の問題でお悩みではありませんか。

□ 一方的な遺産分割案を示されている
□ 相続人の1人が遺産分割協議書に署名してくれない
□ 相続財産の評価を巡って対立している
□ 相続人の1人が相続財産を隠している
□ 遺言書のために遺留分を侵害されている
□ 他の相続人から遺留分を主張されている


                
 
 遺産分割は、遺産分割協議・遺産分割調停・遺産分割審判手続き経て、実現されます。そして、遺産分割において、遺産にはどのような財産が含まれているのか、遺言がある場合にはそれが有効であるのかなど、法的な問題が存在することがあり、こうした問題は、訴訟による解決が必要な場合があります。
 当事務所では、税理士・司法書士と協力関係を有しており、相続税・不動産登記に関するサービスもワンストップにてご提供することが出来ます。

1.遺言書作成

 遺言書には、遺言者の事情に応じて、7つの種類があります。このうち、主に問題となる遺言書は、「普通方式」の①自筆証書遺言(民法968条)、②公正証書遺言(民法969条、969条の2)、③秘密証書遺言(民法970条~972条)になります。

この3つの遺言書の方式を比較すると、以下のようになります。

 方式  筆者  証人・立会人  署名・押印  検認
 自筆証書遺言  遺言者 不要 遺言者  必要
 公正証書遺言  公証人 証人2人以上の立会 遺言者・証人・公証人  不要
 秘密証書遺言  限定なし 公証人及び証人2人以上の前に提出 遺言者、封紙につき公証人・遺言者・証人  必要

公正証書遺言の場合を除き、遺言書の保有者は、相続開始後遅滞なく家庭裁判所に検認の請求をしなければなりません(民法1004条1項・2項)。

検認とは、相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言執行前に遺言書を保全し、後日の変造や隠匿を防ぐために行う手続です。遺言が有効かどうかを確定するものではないことにご注意ください。

検認手続は、相続人全員に通知の上で行われますので(但し、相続人全員が出席する必要はありません)、相続人全員の住所を調査する必要があります。


遺言の有効性は、以下の形式的及び実質的要件の有無に基づき判断されます。

(1) 形式的要件の確認

ア 自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言の場合、民法968条の要件(全文の自書、日付の記載、氏名の記載、押印)を備えている必要があります。

自筆証書遺言では、他の相続人から、筆跡が被相続人本人のものではないと言われることもあります。裁判で筆跡の同一性を判断するためには、筆跡鑑定を行うことになりますので、ほかに被相続人が書き記した物(手紙、日記等)がないか、確認しておく必要があります。

イ 公正証書遺言の場合

公正証書遺言の場合、「2名以上の証人の立会い、遺言者による遺言の趣旨の口授、公証人の筆記と読み聞かせ又は閲覧、遺言者及び証人の承認、署名、押印」が必要とされます。

このように、公正証書遺言は、公証人の面前で作成されるものですから、一応は形式的な要件が備わっているものと考えられます。

もっとも、口授の存否については争いになることがあり、「口授がなかった」として遺言書を無効とした例もあります。

 

(2) 実質的要件の確認

次に、遺言書の実質的要件を確認する必要があります。

いずれの形式の遺言書であっても、遺言書の作成当時、遺言者が、自分がしようとしている遺言の内容やその意味を理解できる意思能力(遺言能力)を備えていることが必要です(民法963条)(=「実質的要件」)。

形式的要件を備えた遺言書があったとしても、実質的要件を欠けば、この遺言書は無効となります。

但し、形式的要件を備えている以上、この遺言書を無効とするためには、遺言無効確認訴訟を提起しなければなりません。

遺言能力を争った裁判は数多く、公正証書遺言であってもその効力を否定した裁判例は少なくありません。

遺言能力の点でお悩みであれば、まずはご相談ください。


2.遺産の使い込み

遺産・預金の使い込みとは、被相続人の生前に、被相続人名義の預貯金が、相続人の一部によって無断で引き出されていることをいいます。

このように、遺産・預金の使い込みのケースでは、被相続人の死後、相続人の一部の者が原告となり、他の相続人を被告として、当該預貯金の引出は被告が被相続人に無断で権限なく行ったものであるなどとして、不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得に基づく利得返還請求をすることになります。

遺産・預金の使い込みのケースでは、使い込みをしたと主張されている立場なのか、使い込みをしたと主張している立場なのかによって、注意すべきポイントが異なることになります。


3.遺産分割協議・家庭裁判所の調停・審判

 遺産分割協議とは、相続人全員が遺産分割について協議をし、合意をすることをいいます。そして、この協議が調った証として、遺産分割協議書を作成し、各相続人が印鑑証明を添えてこれに署名押印することで、各手続(不動産登記の移転や預金口座の払戻等)を行うことができます。

 当事者間で協議が調わない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。遺産分割について話合いを持ったのに合意ができなかったり、そもそも話合い自体ができなかったりした場合には、家庭裁判所へ調停を申し立てることが有効です。当事者間だけで話し合っていては、感情的なもつれなどから何度も話合いが蒸し返しになり、前進しないことが往々にしてあります。このような時は、家庭裁判所への調停を検討することになります。

 審判とは、調停で話がまとまらない場合などに、家庭裁判所が一切の事情を考慮して、公権的に遺産分割の方法を決めることをいいます。なお、遺産分割事件では、審判、調停のいずれの手続を申し立てることも可能です。但し、審判事件として申し立てても、家庭裁判所の職権で調停に付されることが多くあります。

 調停や審判によっても、遺産分割に関するすべての紛争を最終的には解決できない場合があります。たとえば、相続人の範囲を確定するためには、人事訴訟によって確定した後に、遺産分割をしなければならないことがあります。また、①遺言の無効を争う場合、②遺産の範囲に争いがある場合、③遺留分減債請求権を行使した場合等も、調停で解決できない場合には、訴訟を提起せざるを得ないことがあります。


4.相続放棄・限定承認

相続放棄とは、相続人が遺産の相続を放棄することを言います。

相続財産の中には、債務のように相続人にとって不利なものもあることから、相続の負担から相続人を解放するため、相続放棄という制度が設けられたとされています。

また、実際に相続放棄が行われる例としては、債務を承継しないようにする場合以外にも、家業の経営を安定させるために後継者以外の兄弟姉妹が相続を辞退する場合などもあります。

相続放棄が家庭裁判所に受理されると、申述人ははじめから相続人とならなかったものとして取り扱われます(民法939条)。

この結果、相続放棄がなされると、他の共同相続人の相続分が増加したり、新たに相続人となる者が現れたりします。

この場合、特に注意しなければならないこととしては、被相続人に債務があった場合、相続放棄の結果、新たに相続人となった者も相続放棄をする必要があるという点です。

限定承認とは、家庭裁判所の審判により、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済するとの留保をつけた承認を言います(民法922条)。

相続人は、自分の意思で、相続財産を承認するか放棄するかを決めることができますが、限定承認は、相続財産が債務超過となっているか明らかではなく、相続放棄が適当かどうか判断できない場合や、債務超過が明らかであっても、家業の承継等のため相続財産の一部を買い取りたい場合等にメリットがある制度と言えます。


5.遺留分減殺請求

(1) 遺留分権利者の確認

遺留分権利者は,兄弟姉妹を除く法定相続人です(民法1028条)。言い換えれば,被相続人の配偶者,子,直系尊属が遺留分権利者となります。

また,胎児も生まれれば子としての遺留分が認められます(民法886条)。

なお,遺留分は相続人に与えられる権利であるため,相続欠格,相続廃除,相続放棄をした者は遺留分がありません。但し,相続欠格,相続廃除の場合,代襲者が相続人となり,その者が遺留分権利者となります。

 

(2) 遺留分の割合

遺留分の割合は,総体的遺留分(遺留分権利者が相続財産全体に対して有する割合)と個別的遺留分(遺留分権利者が2人以上いる場合に各遺留分権利者が相続財産に対して有する割合)の2つがあります。

総体的遺留分は,直系尊属のみが相続人である場合には相続財産の3分の1であり,その他の場合には2分の1となります。

個別的遺留分は,遺留分権利者が数人いる場合,総体的遺留分が法定相続分に従って配分されることになります。

例えば,配偶者と子3人が相続人の場合における個別的遺留分は,配偶者:1/2×1/2=1/4 ,子1名:1/2×1/2×1/3=1/12となります。

(3) 基礎となる被相続人の財産の算定

遺留分の算定のためには,前提として,基礎となる被相続人の財産を確定する必要があります。

基礎となる被相続人の財産の算定方法は以下のとおりです。

基礎財産=相続開始時の相続財産 + 贈与した財産の額 – 相続債務

 

(4) 遺留分侵害額の算定

次に,遺留分の侵害額の算定方法は以下のとおりです。

遺留分侵害額=遺留分額 – 純相続分額
遺留分額=基礎となる被相続人の財産 × 個別的遺留分
純相続分額=(相続開始時の相続財産 − 相続債務) × 法定相続分

(5) 遺留分減殺対象

遺留分減殺請求の対象が複数ある場合には,減殺請求の順序・割合が問題となります。遺留分減殺請求の順序・割合は民法1033条以下で規定されています。

  1. 減殺対象が複数ある場合
    遺留分減殺請求の対象が複数ある場合には,遺贈→贈与の順序で減殺されます(民法1033条)。
  2. 遺贈が複数ある場合
    遺留分減殺請求の対象となる遺贈が複数ある場合,「その目的の価額の割合に応じて」減殺されます。もっとも,「遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う」とされます(民法1034条本文・但書)。
  3. 贈与が複数ある場合
    贈与が複数ある場合には,「後の贈与から順次前の贈与に対して」減殺されます(民法1035条)。

 

(6) 遺留分減殺請求の行使

遺留分減殺請求が行使されると,受贈者は,現物及び減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならないことになります(民法1036条)。

もっとも,受贈者は,「減殺を受けるべき限度において,贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる」(民法1041条1項)ため,実務上は価額弁償を選択されることが多いといえます。